19日目 〜霊隠寺、岳廟〜

今日は、授業のあと、いつものメンバーで少し離れたところまでご飯を食べに行った。4日目に教授に連れて行ってもらった龍井とも近い場所で、雰囲気も似ている。このあたりは基本的に高級別荘地兼レストランになっているのだろうか。前回行った店は払っていないのでわからないが、今日行った店は食事もそれほど高くなく一人30元くらい。雰囲気もまぁまぁ、出てきた食事は全ておいしかった。こういう店なら日本人の友人にも紹介できそうだ。
さて、食事の後、同級生はみな帰ったが、自分は霊隠寺という東晋時代(328年)から続く寺に来てみた。寺の本堂には結構大きな大仏(9メートル)と、羅漢像。目を見張ったのは、飛来峰という岩肌に掘られた仏像たち。弥勒菩薩(布袋さん)の像が最も有名らしい。洞窟の中にも仏像が彫られていた。入場料は結構高かったが(飛来峰を含む敷地内に入るのに45元、寺の本堂には更に30元)、ここの雰囲気も素晴らしい。生い茂る木に水のせせらぎ、そこに岩に掘られた仏像たちが溶け込んでいる。湖に反射した山の姿も素晴らしかった。自分は見なかったが、日本語の俳句(読み人知らず)も石に掘られているらしい。「来てみれば 故郷の秋や 飛来峰」秋ではなく夏だったが、この句を詠んだ人の気持ちもわかる気がした。しかし、観光地化されているのはいいのだが、店の売り子が音の鳴る笛をピッピピッピ吹いているのはやめてほしい。

寺の見物が終わってから、バスに乗って岳飛廟へ。岳飛は南宋時代に北方民族の金と戦った漢民族の英雄。生まれは農家の息子だが、愛国心の強い母に育てられ、異例の速さで出世をしたらしい。
この頃の中国は北方民族との争いが絶えなかった。金の度重なる軍事行動に対して岳飛は断固戦うことを主張するが、和平派の南宋の宰相、秦檜にとらえられて毒殺される。その後、南宋は元とともにこのような悲運を持つ人物だから中国人は崇拝の対象としているのだろう。関羽も似たようなものだろう。秦檜はその後も天寿を全うするが、死後一族は没落し、その像は今も妻とともに売国奴として中国人の軽蔑の対象とされている。同じように中国人が嫌いな人物に、日本の傀儡政権を作った汪兆銘がいる。中国人は善悪の評価が日本と比べてはっきりしているが、まぁ国を守ろうとした人間を毒殺した人間を軽蔑するのは当然と言えば当然だろう。
日本でも岳飛は江戸時代の教科書になったり、西郷隆盛に影響を与えているらしい。