北京旅行part.2

今日は駅前のパン屋で朝ごはんを買ってからタクシーで建国門へ。タクシーを降りてから友諠商店という昔ながらのギフトショップを見てみて、ここで買うものは敢えて言うなら櫛くらいだよねと言いながら出て行こうとしたときに、何か身に付けているものが少ないことに気付いた。急いでカバンの中等を確認してみると財布がない。まさかそんなことはないだろうと思っていたが、探しても探しても本当に見つからないので、いよいよ焦り始め、タクシーを降りたところまで道を逆戻りしてみたが、見つからない。

かなりショックでもあったが、とりあえず被害を少なくしないといけない。まず友諠商店の受付に財布を見つけたら連絡をしてもらうよう頼んだのだが、気が動転していて、昔語言大学でならったことを忘れていた。財布をなくした時は、その中に入っているお金は少な目にいっておかないといけないのだ。正直に言ってしまうと、またましてや少し多めに言ってしまうと、戻ってくるものも絶対に戻ってこない。拾った人にしてみれば、自分がお金をとったと疑われるからだ。「ベストは現金少々と言うことだ」と、授業で習っていたにもかかわらず、正直に言ってしまった。

残る可能性、そして一番大きな可能性はタクシーを降りたときに落としたことだが、ここも、小票(発票)というレシートをもらっていなかったので、乗っていたタクシーを探す手段がない。タクシー運転手によっては渡すのを面倒くさがる人も多いし、後ろから別の客が乗ってくることも多かったので、今までもらうことを意識したことはなかったが、ここに来てレシートの重要性が身に染みた。

そうは言っても12時から中国人の友人と一緒にご飯を食べることにしていたので、とにかくカードを止めようとしたが、自分の携帯では国際電話をかけられないので、日本の家族に頼むことにした。

中国人の友人とご飯を食べている時も気が気でなく、会話も十分に楽しむことができなかったので、本当に申し訳なかったと思う。しかも、友人は警察やタクシー管理会社(土曜で休みだったが)に電話をしてくれて、またもやお世話になってしまった。

ご飯はセントレージスホテルに入っている天宝閣というところで、一人180元程度の点心系のビュッフェを食べた。一つ一つの料理はとてもおいしかったはずだが、気分が落ち込んでいたせいもあり、会話をあまり盛り上げることができなかった。とにかく食事も終わり、来週またバスケットをやる約束をしてから別れた。もう一度だけ元来た道の芝生などを探してみたが、まぁ見つかるわけがない。このあたりでカードを止める作業は大体できて、これ以上の被害が出る可能性は減ったため、落ち込んでいてもしょうがないと、とにかく観光をすることにした。

天安門へタクシーで向かい、その間VISAカードからの電話の対応をしながら、運転手からの質問に答え、レシートを忘れずにもらって天安門広場の近くで降りてから、立派な毛沢東像と記念撮影をし、地下鉄で東単へ行った。

東単では財布を落としたにも関わらず、ナイキで靴を買い物をし、いわゆるブランドショップは日本並みに高いので何も買わなかったが、王府井の繁華街を観光しながら王府井百貨店でお土産のお茶を買ったりした。
財布を落としたのは大きな痛手だが、お金を分けて管理していたのは助かった。今日身につけているものでは、他にパスポート、小銭入れ、手帳に百元〜数百元入れている。これがなければ、観光も何もなくなり家に戻るしかなくなったので、やはりリスクヘッジは大事だと思った。カードも極力持ち歩いていなかったので、手続の煩雑さも軽減されている。

王府井大街を抜けて晩御飯の店までタクシーを拾おうとしたが、なかなか空いているタクシーがいない。そんな中、黒車(いわゆる白タク)や黒バイク(後ろに2人乗れるようになった窓も屋根もない三輪車形式のバイク)が近寄ってきた。黒車は30元から譲らなかったが、黒バイクはこちらの言い値の20元になったので、妻を乗せるのには多少抵抗があったが、タクシーを拾うのもかなり大変そうだったので、乗ってしまうことにした。

この黒バイク、道を知らないのに知ってるというだけならともかく、付近の住民に聞いてもいいよとこちらが言ったのに、わかってると譲らない。まぁメンツを気にしているのかなと思って放っておいたら、かなり怪しげな道を通っていったが、確かに目的地には遠回りすることなく辿り着いた。しかし、ここで一悶着。この運転手が一人20元と言い出したのだ。普通にタクシーに乗れば15元〜20元程度の距離なのはわかっていたので、2人だからと言って40元はあり得ない。それにこの運転手にしてみれば1人も2人も労力は同じはずだ。そんな無茶は許すものかと、こちらもかなりの剣幕で喧嘩を始めることになった。隣では妻が「だからやめようと言ったのに」と言っていたので、なおさら負けられない。
大体のやりとりはこんな感じだ。
「1人20元なんて聞いてないぞ」
「いや確かに言った」
「そんなこと言ってない」
「言った」
「1人20元なんてありえない。タクシーに乗ったら15元から20元の距離だろう」
「タクシーならそうだ。だが、あそこで待っていたら時間がかかった」
「あり得ない。」
「なんと言っても1人20元だ」
「それならもういい。あそこまで戻せ。」
「わかった。」
「あそこでタクシーを探すから戻せばいいじゃないか。」
(この辺で周りの人の目を気にし始める)
「確かに言った」
「じゃあ2人25元でいいからここで降りる。」
「わかったよ。じゃああと5元よこせ。」
「はい5元だよ。さよなら。」

といった感じだ。結局こちらの言い分に近づけたのは近づけたが、向こうにしてみれば得は得なはずだ。今回の喧嘩では合理的な価格、周りの目、こちらの主張を曲げないこと、相手のメンツなど、こういった個人商と交渉になった時の色んな要素が垣間見えた。

その後入ったレストランはいわゆる中華料理を出している店。雰囲気はそれほど悪くなく、店員の態度もこの国ではかなりいい部類だった。そして安い。6割くらいしか食べきれないほどの量を頼んで2人で合計100元。やはり中国の料理というのはこの価格でお腹いっぱいおいしいものを食べられるというところが魅力だ。

ホテルの近くのコンビニまでタクシーに乗り、ビールや飲み物を買ってホテルでゆっくりしようかと思ったが、今日はいろいろあって疲れてたのか、2人ともすぐに寝てしまった。