中国留学と欧米留学

まだ大学院生活を始めて1月半しか経ってないが、今までに感じた限りで中国留学の特徴を(行ったこともない欧米留学はきっとこんな感じだろうと想像しながら)述べてみようと思う。
ちなみに対象は自分と同じ、1.研究生、もしくは語学以外の学部生留学、2.帰国子女ではない、3.中国語授業のクラス、4.社会人という観点。

1.語学について
当初はしんどいが、語学がよほどできない限り最初しんどいのはどこの国でも一緒だろう。
留学後のメリットは、中国語がそこそこできるようになることだと思う。逆に英米留学のメリットは世界共通語ができるようになること。中国でも英語の文献も読まないといけないが、毛が生えるレベル。

2.研究内容について
授業で扱う本は英語著書を訳したものが基本書となることが多い。また、論文も欧米の著者のものをまずはよく読まされる。つまり、基礎理論は結局同じものを学ぶことになる。それならば、欧米圏に留学した方が文献量も豊富だし、学問として充実するのは間違いない。
中国留学の唯一かつ最大のメリットは、中国の制度、現状について知ることができること。欧米の研究者の研究対象はあくまで欧米であることがほとんどで、中国について触れられたものは少ない。そのため、中国に来ないと中国の制度や社会事情を知ることができないと言える。実際に中国人の著作では、欧米のモデルを利用した自国の分析物が結構多い。
大学に残る研究者として留学するなら中国はやめといた方がいいと思うが、中国に関わりのある実務者として行くのであれば、実務に役立つ背景知識を学ぶことができる。

3.生活面
これは容易に予想できるだろうが、欧米は高品質高価格、中国は低品質低価格(中品質中価格)だ。これは求めるレベル次第だが、ある程度の不衛生と交通マナーの悪さとサービスの質の低さを我慢できるのであれば、中国でもなんとかなる。逆にそういうことに耐えられるなら(慣れることができれば)、食事のバラエティが豊富だし、1000円以上出せばレストランの料理の質がかなり高くなるし、タクシーも安い、お酒も安い、その他サービスが安い(例えば掃除のおばさんは1時間200円くらいで雇えるetc)ことを考えると中国で過ごすのもなかなか楽しい。

4.友人
中国の学生はとてもまじめだ。欧米人は良くバーに行くが中国人がバーに行くのはあまり見ない(いないわけではないが)。社会人でも食事に行くことはあっても酒を飲みに行くことはないという(「飲みに行こう」ではなく「食事に行こう」と誘うらしい)。そのため、息抜きは食事かスポーツとなる。日本人にとって、高校生までならそれでも楽しいのだが、大学生やまして社会人を経験した身としては、スポーツと食事だけではなんか物足りない。
そして中国留学の特徴の一つだが、日本人留学生が少ない。語学研修生は多いものの、専門課程の日本人留学生は今増えてきているところだが、まだまだ少ないのが現状だ。そのため、先人の教えを乞うことが難しい。一方で、現地にいる日本人留学生が集まって情報交換や息抜きをする機会が多くなる。これをメリットと考えるかデメリットと考えるかは人それぞれだし、付き合い方次第だろう。
最後に、中国語クラスの場合は当たり前だがクラスの友人は中国人がほとんどとなる。欧米圏でも英語クラスには多国籍の学生が集まるはずだが、中国語クラスの場合、中国人としか出会えない。欧米人との知り合いを増やすだけならいくらでも手段はあるが、同じ専門分野の知り合いを増やすのは極めて難しい。これはデメリットと言えるだろう。

というような感じだろうか。
自分は敢えてこの国に来たのだから、そのメリットの部分を重点的に活かすようにしたいと思う。
つまり、学問知識<実務知識、英語<中国語、汚い家でダラダラ<うまい料理屋開拓、飲酒で気晴らし<スポーツで気晴らしのような感じか。

なお、中国留学でも英語クラスというものもある。この場合は、使用言語も英語になるし、そこにいる学生も国際色豊かになるので、中国留学と欧米留学の中間的な特徴を有しているのではないかと思う。