中国の地方制度改革

今日は野村総研の勉強会。地方政府制度について。北京大学公共管理学院の教授を招いて。

中国では、様々な側面で改革を行っており、たとえば省直轄県制度(中間地方政府の市による管理の省略による効率化。日本でいう中核市のようなものか。)、行政評価制度、請負公務員制度などにおける改革例を3つ紹介していた。

改革内容自体はかなり先進国から見ても最新式であるし、それを担う行政官の能力も意欲も高い、そしてこれは一種の分権であり地域自主性や多様性の向上にもつながると評価していたが、問題点として以下の点を挙げていた。
・長期的目標の不備
・ローカルガバナンスが目的ではなく、中央の政策の分担をやっているに過ぎない
・実験的改革のエンドレスな継続

そのため、以下のような取り組みがさらに必要だと結論付けていた。
・中央地方関係を律する法律制度
・住民によるボトムアップのチェック機能、例として選挙による首長公選(ただ、50年はかかるのではないかとも補足していた)
・広大な国土を国家政府だけでコントロールすることは極めて難しいが、その中でも広域的課題に対応するためのトップマネジメント

自分は、地域間で矛盾が起きた時の調整手段と、住民によるチェックの促進は選挙以外にも図られるべきなのかという点を質問してみたが、質問で例に挙げた事例を都市政策分野から挙げてしまったので、そちらに対する質問だと受け取られたらしく、答えは以下の通り。
・福祉の基準は確かに地方によってバラバラであり、問題視されているが、現在政府が統一的な運用の目標を挙げており、聞くところによると2015年までに統一化を図るらしい
・都市計画における住民参加は、たとえば北京の発展改革委員会において議論に上がった時自分が日本の事例を紹介した。今先進国の制度を研究しているところである。
教授は、専門的な分野で自分はそこまで研究が及んでいないと謝っていたが、もっと抽象的に答えてもらって良かったのだが、質問の仕方が悪かったかな。

他に出席者の質問で面白かったのは、
・実験的改革をずっと続けることによってガス抜きをしているように見える
というもの。また、他の方は、
・地方によってバラバラだと、他の国から極めて分かりにくい。こういう取り組みはやらないのかという質問をしても、○○市でやっていると切り替えされる。
と外交的な側面からも感想を述べていた。

久しぶりに都市計画を離れて本業の公共政策の方の議論を聞いたのだが、この国は理解するのが難しいというのが感想だ。