大学の課題と研究

大学で課せられる課題と自分の希望する研究内容のギャップに何か違和感を感じてしまうことが多い。
それは、同級生の重視する内容にもつながり、関心対象のズレとなって現れることもある。

もちろん都市化の段階が違うので、日本の都市が抱える問題と中国の都市が抱える問題はだいぶ異なる。この点は分かっていたことだし、日本の昔の都市政策の勉強にも繋がるので特に問題ない。

一番ギャップを感じるのは、やはりSTUDIO、アーバンデザインの授業だ。清華大学の都市計画系では設計を非常に重視している。自分の所属しているのが建築学部の都市計画学科だからだろうか、どこかの記事で読んだのだが、中国の都市計画ではデザインの授業を重視する傾向にあるらしい。もちろん、建築家にとって設計(デザイン)は命である。なので、建築学部の都市計画学科がデザインをメインに据えていても至って自然でありカリキュラムとして問題があるとも思えない。

そのため、同級生もCAD、Photoshop、Sketchupなどのソフトを使ったお絵かきに夢中だ。将来設計事務所に就職して、役所や企業にデザインを売り込んでいくのだから綺麗なデザインをできることも立派な技術である。

のだが。。自分自身のやりたいことはやはり都市政策。
現状や制度の問題点等の分析、将来の都市像の描出といった点は学部のカリキュラムもやっているが、そこに辿りつくための政策(財政、金融、組織、技術面における政策)についてはこの学部ではあまり教えないし、同級生もそれほど関心を持っていない。

その一方、最近日本人と多く接触するようにして気付いてきたのだが、日本人の駐在員の人や異業種の留学生の人と話すときに話題に上がりやすいのは何と言っても政策なのだ。自分たちの住んでいる北京ならともかく、「ある都市の望ましい都市像」というのは共通の話題になりにくい。都市と農村の状況、公営住宅の不足、歴史的建築の保存状況などといった現状分析ならある程度話題になり得るが、それも関心の範囲は限られる。

設計の授業も経験としては面白かったが、今学期の課題を提出し終わったら、政策面の勉強をすぐにでも進めていきたい。