大都市圏計画

そういえば、ここの日記に研究関連の記述をしたことがあまりない。一番時間を割いているのは研究なのだから、そういうことも書いておこうと思う。

今日は区域計画の授業だが、その課題で「海外の大都市計画について」という課題がある。願ってもないテーマなので、自分は日本の首都圏の戦略について調べることにしている。そういうわけで土曜日に日本の全総についておさらいをしていたのだが、全総は所得倍増計画=太平洋ベルト構想に対する批判緩和として「拠点開発方式」を打ち出した地域振興寄りの計画、新全総は高度成長の雰囲気を受け継ぐ形で新幹線計画など「大規模プロジェクト方式」を中心にした効率主義、三全総は公害問題などを受けて「定住構想」という再び地域振興寄り、四全総は世界都市東京のけん引力を重視したうえで、東京一極集中を問題視した「多極分散型社会」を目指す効率主義の中での地方配慮主義、という流れがある。

全総のことは何度も勉強したはずなのに付け焼刃で勉強してきたので、それぞれの意味をすぐ忘れていた。例えば四全総の世界都市東京という点については、9月上旬にホールやフリードマン、サッセンの議論を読んだ後だととてもよく理解できる。仕事をしながらだと、なかなかこういう背景を読むことができなかったので、やはり留学というのは貴重な経験だと感じる。

とは言え、ホールもフリードマンもサッセンも1週間に20文献を読まないといけない中での課題だったため、概略しか読んでいない。それぞれの著作を全部読むほどの時間はないにしても、代表的な論文を追っていけば、更に大都市圏戦略というものに対する理解が深まりそうだ。

課題としてアウトプットを出さないといけないので、いつも気分が滅入ってしまっているが、一方で、ある論点について理解を深めていくのはとても面白い。来年の修士論文のテーマにする内容はまだ決めていないが、修論のテーマについてはかなりの文献を読むことができそうだ。今漠然と考えているのは、「災害に強い都市」又は「グローバル経済の中における広域的地域計画」のどちらかだが、両者ともテーマ設定としては余りに広すぎる。再開発や公共交通、土地利用などと調査可能な範囲に絞りこむ必要があるだろうから、関連論文の充実度、先行研究で触れられていない余地、論証の可能性などじっくり吟味したいと思う。一方で、それがそのまま今後のコアスキルになるのだろうから、日本の戦略、又は日本が戦略を立てる上での前提知識と結びつくものにもしないと意味がない。