グループワーク

英語授業のグループワークの打ち合わせで、建築学の博士生(+美術学の修士生)とディスカッションしたのだが、参考になった点を何点か。
ちなみにテーマは、19世紀、20世紀前半の建築家、都市計画家から得られる経験と、21世紀の建築、都市計画に対する展望について。

・自分の中でブレインストーミングしていた21世紀の都市計画の問題点「情報化(グローバル化)、人口減少(高齢化、シュリンク)、資源環境、歴史文化(地域特性)、コミュニティ」という課題に対して、「スケール、密度、持続性、居住環境」とすぐに整理をし直したこと。別の観点から捉え直してみると、言葉がすでに有しているイメージにとらわれることなく視野が広がる。
・たとえば高齢化だとどういうプレゼンをイメージしているかという議論で「バリアフリー、公共交通、介護サービス、住宅」などを挙げると、「これは理念の転換ではなくて今不足しているものばかり、そんなのは誰も聞きたいと思わない。」とばっさり。仕事という実践の場では重要なことではあるが、確かに21世紀の展望と言われた時に「ノンステップバスを導入しましょう、歩道橋をなくしましょう」では聞く価値のない講義かもしれない。
・パワーポイントでは、説明文などを使うのではなくて、動画や1枚の写真などだけを使って、観客を引き込むプレゼンをしたいとのこと。これは建築家たちのプレゼンを見てると多い手法であり、多分に哲学的で個人的なのだが、確かに観客は引き付けられるし、その場で思考することができる。場合によっては、制度や歴史の説明、概要説明など時間をかければ誰でも学べることを短時間で効率的にまとめるプレゼンというのも必要だが、これも今回のテーマの場合前者の方があっていると感じた。

まぁそれはそうと、上にあげた問題意識や、自分の中で持っていた大きな結論「19世紀は都市規模の拡大によって都市計画や都市開発が人間の感覚を超えて抽象化(モデル化)されてきた。それに対して都市美運動やジェイコブズが警鐘を鳴らし、それぞれの(名前を持った)地域に視点を入れることを主張した。」「今後の都市計画は、グローバリゼーションなど一方ではさらに抽象的、模式的にしなければいけない課題がある一方、コミュニティなど一方ではそれぞれの地域に特有の課題を解決しないといけない。」「そのためには、理論的な都市計画と、住民参加を手段とするまちづくりを共存させないといけない」という点には、十分同意してくれた。

今まで会ったことのないようなタイプの人と話す機会はほんと得られるものが多い。

あと、どうでもいいことだが、このプレゼンでも住民参加という今学期の勉強対象に結びつけることができた。自分のシナリオに乗ってくれたというのもあるのだろうが、中国の今の都市問題はほんとに「都市農村(不平等)、エコシティ(資源環境)、住民参加(都市化の手段)」に凝縮されるのかもしれない。後は、資金か。