反日デモ小括

学校前のセブンイレブンも今日は営業再開。それに日本製品もばっちり入ってました。予定通り一気に冷却させるのでしょう。そこで現時点でのこれまでの総括を、個人的観点から。

・デモ参加者とデモ反対者との温度の違い
この国には56の民族、日本の国土の25倍もあるので一括りに理解なんてとてもできません。漢民族同士でも戸籍や出身、所得であからさまな差別意識があります。さらに、他人は他人(個人主義)という考え方が根付いています。日本人の感覚で説明すると、同じ日本人というより、別の国の人間といった感覚かもしれません。ここからは自分の感じ方ですが、今回の事件でもデモ反対者の中で「嫌な思いをさせて申し訳ない」という意見を見かけることは多々ありましたが、「中国人として恥ずかしい」と言う意見を見たのは少なめでした。多くの人が「デモ参加者はデモ参加者、自分たちは自分たち」と思ってるのではないかと思います。

・友人とその他の人への態度の違い
これも同じ文化的背景から言えることですが、友人に対しては徹底的に優しいですし、その態度が変わることはありません。ここも日本と少し違うところかもしれません。今回の事件で、万が一、周囲(大学のクラスメイト、会社の同僚etc)の中国人への見方まで変わってしまったとすると、それは中国人にとっては理解できないことでしょし、その中国人からすると「友人」だと信じていた信頼を壊されることになるでしょう。中国人の言う「友人」は遠慮もプライベートもないくらいの絶対的友人です。日本人の感覚でいうと兄弟姉妹のような家族といった関係が近いと思います。

・報道の違い
日本と中国の報道は大きく違います。中国では大規模デモの様子は報道せず、西安で死者が出た日前後から「一部の不法分子が過激な活動を行っている。愛国活動は支持するべきだが、合法的な愛国活動を行うべきだ」と、小出しに被害を報道してきました。一方で、ネットブログの意見はマスメディアの報道及び政府の対応より1歩ずつ進んでたような気がしました。例えば、中国で有名な日本人(被災地などでボランティア活動をしている人)が今回のデモでも暴行に遭いかけたらしく、ネットでは一昨日それがトップ記事の欄に挙がり、それに対して多くの中国人から謝罪の声が寄せられました(1日で約7万コメント)。もしかすると、これも当局が抑制方向に舵を取る一つのきっかけになったかもしれません。
一方で日本のメディアは、デモや暴行事件が繰り返し取り上げています。ややもすると至る所で危険な雰囲気になっているような感覚になる可能性もあるでしょう。特殊な事象を取り上げるのはメディアの特性上仕方ないことですし、メディアもメディアの報道戦略があるでしょうから、それを踏まえて見る人が冷静になって見ないといけません。

・草の根、経済、国家外交の違い
草の根交流と国家外交を切り離して考えるべきだという意見は、大多数の人が一様に言っていることでした。ただ、それはあくまで個人レベルの話に過ぎず、経済への影響や国家・政治レベルの議論を解決しないままでは、結局「嫌な思いをさせて申し訳ない。彼らは一部のおかしな奴らだ。全員がそうだと思わないでほしい」、という友情だけが残るように感じます。
上記に書いたような事情から、直接被害に遭わなかった日本人でも今回のデモ行為の報道を見て反中感情が高まるのはやむを得ないことですし、一方で、デモに参加せず身の回りの日本人のサポートをした中国人としては、なぜ多くの日本人が中国人全体を嫌うのか理解ができないかもしれません。結果として相互不信が高まります。
幸い人的被害はそれほど多くなかったようですが、経済的被害はそれなりに大きいものだったと思います。草の根レベルの交流が必要なことは大多数の人が感じていることですし、自分も極力伝えてきたつもりです。ただ、国家の問題、政治的理由によって草の根、経済への悪影響を減らす方法を政府は確保しなければならないと思う。そうでない限り、このように政治的に利用されたデモはいつまでも起こり続けると思います。