課題の内容

忙しさにかまけて、課題の内容の記述じゃなくて課題が大変だという愚痴ばかりになってしまっていた。ブログというのは難しいなぁ。
なので、今日からは、また課題の内容について書くことにして、頭の整理などをここでしてみたいと思う。

<郊外比較>
北京は、今郊外開発が盛んだ。日本のニュータウンと同じ時期だと思っていい。若干北京の特徴を言うと、京都とか、ましてや東京とも違い、都市のど真ん中に世界遺産がある。そして、その周りにも胡同(四合院)という、歴史建築物が多く残っており、現在の政府は、この歴史遺産を破壊しないことを原則としている。そのため、都市中心の建設用地が限られており、郊外に街を作るしかないという事情がある。
京都は、京町屋などがあるが面積上は大した規模ではなく、また都市の周りの寺社などに(比較的)保護の重点がある、東京は皇居周りに高さ制限がかかってしまいニューヨークマンハッタンと比べると高度利用ができていないが、北京と比べるとよほど自由に土地利用ができる。

というわけで、今北京の郊外をどう開発するかという課題をやっている。今やっているのは房山区という、北京の西南30キロ〜80キロの1000平方キロメートルという巨大な面積を誇る区の開発だ。人口は現在、人口は100万強。面積比較すると、東京多摩地域と同じくらいで、人口は今の多摩地域が400万くらいだから、比較対象としては最適かもしれない。

しかし、房山区の最大目的は、CSDらしい。Central Shopping Districtの略であり、もちろんCBDをもじった、最近一部の論文で使われる用語。河北地域で最大のOUTLETがあるらしく、こういったショッピング施設、ゴルフ場などのレクリエーション施設、周口店(北京原人)や世界地質公園という観光遺産をもとに、中国首都圏、果ては東アジアの休閑センターを目指すということらしい。まずはより北京市街に近いCBDで働く人の休息の地としての役割を果たしたいとのこと。
そして、もう一つは地区の中心。北京郊外とはいえ、40キロは離れているし、南には劉備玄徳が生まれ桃園の誓いをやった涿州がある。更に南には保定市という、そこそこ大きな市も存在する。このあたり一帯は、工業が比較的盛んらしく、しかし特に地域間の交流は強くない。そのため、これらの工業都市にとっての地域のビジネスセンター(物流から企業法務まで)及び上に書いた商業センターを担えないかとも考えている。
最後に、北京には北東に首都空港があるが、北京南部に首都第二空港を建設する計画がある。この位置ははっきり決まっていないらしいが、この房山区の少し東側が候補地となっているらしい。空港が建設されると、ハイテク産業やサービス業の立地が進むが、房山区としては、この空港建設によるプラスの影響を受けたいと思っている。そのため、北京市街との関係だけでなく、郊外同士の交通の便を高める必要がある。

自分の役割は、これらの事情に対して、比較できる事例を探すことになる。
候補としては、直感的に八王子を含む多摩地域、そして千葉市を中心とした千葉中央部だろう。

八王子の比較要素と比較不可能な要素は以下のような点だ。
1.面積、人口、東京からの距離、地形などが酷似。
2.飯能入間〜青梅福生〜立川八王子〜相模原〜厚木海老名〜平塚〜鎌倉、または、八王子〜町田〜横浜という南北交通がもともと発展している。これらの都市間の関係も深く、業務核都市として指定を受けるなどある程度の産業集積が進んでいる。
3.移転した大学が多く、その点での比較が可能
4.ニュータウン開発、業務核都市などの先行事例が豊富。また、東京都は多摩地域という単位での政策、統計資料を持っている。
1.高尾山を除いて域外から人を呼べる大した観光資源がない。
2.業務核都市だとは言え、東京中心地区への依存は強く、昼夜間人口比率が1以上なのは、立川市、武蔵野市くらいで、大学が多い八王子でさえ1っを切っている。域外から人を呼ぶ商業センターとは言えない。

千葉市はこうなるだろうか。
1.幕張新都心という副都心建設の経験がある。
2.千葉市は地域の中心地域であり、昼夜間人口も中央区、美浜区ではかなり高い。
3.成田空港からの直線ルートにない中で空港活用を図るという点。
4.東京ディズニーランドという地域外からの集客施設の宿泊場所として利用されているという点。
1.最近の幕張新都心の企業進出がいまいち。幕張メッセも横浜みなとみらいのパシフィコと比べると集客力が弱い。
2.千葉市だけだと人口、面積ともに比較対象になりにくいが(房山区の方をいくつかの地域に分けて、その中の中心地区と比較することなら可能)、千葉県の地域分けが難しい。統計データも見つからない。
3.空港との位置関係は良いのだが、空港の影響をどうやって図るかが難しい。
4.海に面している(房山区は内陸)

他には、積極的に空港の影響を活用するという点でつくば市、業務の集積が進む新都心があり、地域の商業中心となっているという点で横浜などが比較対象になるかもしれないが、いずれもそれ以外の点で違いが大きすぎる。
さいたま市も新都心があり、地域のある程度の中心になっているという点で参考になるのだが(東京のベッドタウン性もかなり強いが)、最近できた都市であるため、次に書く「統計データ」が極めて使いにくい。

というわけで、やはり八王子を中心とした多摩地域と、千葉市を中心とした千葉中央部との比較がいいと思うのだが、次の問題はデータの扱い。

上にも書いたが、人口増加、経済発展の点からみると、北京は東京の1970年〜1980年に似ている。そのため、データの比較の時は、東京の現在データを分析→北京の将来像の予測としかならないため、東京の過去のデータを集めないといけない。
人口、面積、事業所数などは国勢調査の長時系列データを集めればすぐに出るが、例えば県内総生産(GDP)は最近のものしか見つからない。なので、比較できる内容も限られる。また、都道府県は変わってないのでデータの統合分配が簡単だが、市町村単位の分析をしようと思うとデータをまとめるのに相当の労力が必要になる。このてんからさいたま市のデータ分析は難しいのだ。
さらに、データ以外で、例えばニュータウン開発事業の事業内容を調べるのも、結構大変だ。日本のニュータウンの先駆け、千里ニュータウンと多摩ニュータウンならそれなりに資料が残っているし、学術研究成果も多い。しかし、それ以外のニュータウン開発は、資料がぐんと減ってしまっている(と思う)。例えば、多摩ニューと同じ都市機構が作った港北ニュータウンは、横浜8大事業であるが、ネットで調べられる資料には限りがある。
ニュータウン開発や新都心開発など一大プロジェクトとしてやっていない場合は、資料がほとんどないし、民間企業(大手私鉄など)が行ったプロジェクトは、そもそも資料が少ない。

ただ、そういう状況だということが分かってきただけでもそれはそれで収穫だ。つまり、限られたデータで答えを出さないといけない。インプットを探し続けるのではなく、今ある資料でアウトプットを出すことを考えないといけないということだ。今までと比べると、手を動かす量を減らして頭を動かす量を増やさないといけないってことだろう。

ちなみに、こういう課題をやる中で、データと地図システムの扱い方も徐々に勉強中だ。今はAutoCADのライセンスを持ってないので(そもそも仮に清華大学で買っていたとしても、日本語版をもらえる可能性はゼロだ)、MANDARAという、フリーソフトを使っている。政策課時代にこの使い方を知っていればよかったと思うほど便利だ。こちらはまた機会があれば書こうと思う。