中国都市問題備忘録

今日は東日本大震災1周年。
被害に遭った方のご冥福を祈るとともに、一刻も早い復旧、復興をお祈りします。

さて、修論テーマに関して、中国の都市問題について今の考えを軽く書いておきたい。
中国の都市の抱える大きな問題は以下のようなものだろう。

1.都市化の促進
中国の都市化率はまだまだ低い。生産効率や産業発展を続けるためには、都市化を進め、生産効率を挙げる必要がある。都市化の進展による混雑問題、住宅、産業インフラ不足、効率的な都市開発などの解決。

2.農村と都市の協調
都市化が進む中で、農村の改革も必要だ。これは2つの階層があり、大都市に取り込まれる農村(城中村)をどう扱うかという点と、農村地区の中での都市的地域(鎮という)のネットワークをどう整備していくかという点。

3.低炭素型都市
中国のエネルギー効率は世界トップクラスに悪い。産業面、家庭面、運輸面、様々な側面での取り組みが必要だが、都市計画的にも、エネルギーの面的利用、公共交通指向型都市、緑地確保、土地の混合利用などの課題がある。

4.都市開発資金調達
今は、地方政府が国有の土地を貸して(通常100年)資金を賄っている。しかし、これでも資金不足であり、不動産価格の調整の問題や、財政の継続性の問題からも問題が多い。特に自動車の急増の中で、地下鉄の建設資金不足は都市化推進の大きなネック。

以上が、さしあたっての大問題だろうか。そして、今は表面化していない点、より積極的に目指すべきとされている問題点は以下のような点だ。

5.世界都市の創造
北京(天津、河北省)、上海(蘇州、杭州、南京)、広州(深圳、珠海+香港、澳門)を中心とした3つのメガリージョンにおいてアジアの経済中心を作る。東京、シンガポールとの競争。国土計画とブロック計画。

6.高齢化社会対応
人口政策がもたらす20年後〜30年後の急速な高齢化に向けた都市システムの整備(医療介護、ユニバーサルデザイン、産業構造など)

7.歴史遺産保護、災害対策
今でも力を入れている都市も多いが、今後都市化が更に進むと、開発と保護との間で、どこまで力を入れるのかより問題が鮮明になってくるだろう。

8.地方分権と住民参加
13億人の大国家を北京(全人代)だけで支えることは既に不可能。右肩上がりの経済が終わる頃に、地方経済をどのような仕組みで持続させ続けるか。人、金、時間の有効活用。


この中で、指導教授からは住民参加は先鋭的すぎるとの指摘があった。災害対策は、日本の研究レベルが相当高く、研究の基礎データ不足と言う意味で、中国を対象にした研究ができるかどうか不安だ。そうなると、やはり低炭素都市(コンパクトシティ)だろうか。。。
頭の整理だけでなく、論文も読みまくらないといけないよなー。