修論テーマ

昨日から3日間は修論のテーマ設定に没頭。一応他にも5人組での課題(5人で12000字のレポート)があったのだが、5人中2人は直博、1人は博士課程、1人は普通の修士だが同じくらい真面目な子。自分は東京の事情に関するコラムを1時間くらいで1000字ほど書いて後はまとめてもらった。さすが清華直博。

さて、修論テーマは、今のところ、「新規大規模開発地域における土地利用」について、持続可能性、多様性の観点から、用途混合の状況について研究および日中比較をしてみようかと思っている。
かつての欧米でも日本でも最近の中国でも郊外にニュータウンの開発を行っているが、共通して課題となっているのは職住分離、公共施設・公共交通確保、施設の維持更新、高齢化、住み替え(世代循環)など。

かつてはコルビュジェを中心としたアテネ憲章に唄われて、ペリーの近隣住区で実践されたように機能主義(→ゾーニング)に基づく住宅地開発が行われていたが、その後産業構造の変化、ベッドタウンの発生、自動車交通の負担増加を背景として再び機能混合を指向するようになった。
この流れの初期にはジェインジェイコブズの多様性の議論があるし、アメリカではPUD開発が盛んにおこなわれるようになり、アメリカ土地学会(ULI)によりミックストユースディベロップメントも推奨されるようになった。
まとまった都市計画の動きとしては、イギリスのアーバンルネッサンス及びアーバンヴィレッジ、アメリカのスマートグロース、ニューアーバニズムがあり、ヨーロッパと日本のコンパクトシティもその流れを受け継ぐ。TND、TOD開発モデルもすべて土地の混合利用を指向している。

一方、上記の流れは都市化が進んだ後のスプロールに対応するため出てきたが、中国では、都市化の中で土地の有効活用を図るべく土地集約理論が議論されてきた。これが、欧米の議論(=多様性の確保)と結びついて、最近はニューアーバニズム、コンパクトシティーへの関心も高まっている。都市化の段階は異なるが、多様性の重要性を認識している点では同じだ。(実践でできているかどうかは、また別)

こういった理論、実践の動きを踏まえて、日本と中国における土地利用の混合用途について検討をする。主に、望ましい土地混合とは何か、国際的な普遍性と相違点は何かを検討したい。

戸籍、土地所有権、公営住宅制度、公共交通の経営主体、開発設​計標準など異なる点も多いが、日本の事例や欧米の理論を調査したうえで、(出来れば開発手法の違いや業務核都市など制度が土地利​用に与えた影響なども分析して、)中国および日本でどのようなニ​ュータウン開発、管理を行うべきか検討していってみようかと思っ​ています。

というようなことを、まとめたりしないといけないので、後になって数えた数だが、
中国の文献:書籍3冊、学位論文3編、ジャーナル45編
日本の文献:書籍10冊、ジャーナル50編
英語文献:書籍2冊
を読んできた(この2月からだが)。通常修士論文の後ろについている参考文献は100ほど。上記に書いたもののうち、初期にコンパクトシティ全体の勉強のために読んでいたものもあり、最終的にはあまり関係のないものもあるが、最終的な参考文献の3分の1ほどは読めているのではないだろうか。頭の整理がもっと早くできればもっと効率的にできたのだろうが、まぁ頑張りました。